2023年3月から2024年11月に起こる冥王星の時間をかけての水瓶座への移動…あなたの世界に何が起こるのか?

アン・ウィテーカー

序論:2007年8月以降に起きた世界の主要な出来事や展開

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ニューラルネットワーク
出典:DancingPhilosopher、CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>、Wikimedia Commons より

2023年3月23日、太陽系の惑星の中でも、最深部への働きかけとパワフルな変革的エネルギーを象徴する冥王星が水瓶座へと移動をしました。これは1777年4月4日に起きて以来、初めての水瓶座への移動です。移動のあった三月のまさにその日、OpenAI が ChatGPT にプラグインのサービスを追加し、他のサービスとの統合などを進めました。これにより、AI の起こす改革が善や悪の関係なしに、広範囲に渡って影響を及ぼすものであるという認識が一気に広まったことを私たちは目の当たりにしたのです。

冥王星はゆっくりと粛正を進めていく惑星です。山羊座に移動した2007〜8年は、国際金融危機を引き起こしました。冥王星が完全に水瓶座へ移動するのは2024年の11月19日の直後、アメリカの大統領選挙がちょうど終わった頃に当たります。冥王星が山羊座をトランジットしている間、気候変動への注目もこれまで以上に上がりました。この夏世界中で起きた山火事、洪水、氷河の崩壊、海水面の高さの上昇などのニュースを目にし、気候変動を懐疑的に捉えている人もほぼいなくなったことでしょう。

また、カトリック教会、映画業界、法的機関などで慣習のように当たり前に行われていた性的またはさまざまなタイプの搾取や差別が表沙汰となり、MeToo 運動やブラック・ライヴス・マターなどの動きへと繋がっていきました。中東やアフリカは、今日も起こり続けている紛争などのため、その被害は止まることを知りません。2022年の春に始まったプーチンによるウクライナ侵攻と言う名の戦争は、政治的・経済的両方の側面から世界中を巻き込む結果となりました。アストロロジャーであるジェシカ・アダムスは、冥王星の水瓶座で起きた前回と今回のトランジット、それがもたらす世界的な影響について深い見識をお持ちです。これは歴史的な視点を詳しく知りたいという方にとっては、一読すべきものでしょう。

今回、冥王星は2023年3月から、最終的に2043年に去るまで水瓶座をトランジットすることとなります。Some Notes on Cycles in a Time of Crisis... で触れているように(2019年、Astrodienst)、私たちは今混乱の真っ只中にいます。その混乱というものは、大きな動きを起こし、常に新しい時代への変化をもたらします。今は、物質主義の時代(1803年〜2020年)と同時にある「地の時代」と、新しい「風の時代」の始まり(2020年〜2200年)の狭間にあり、「風の時代」の始まりは私たちの集団生活を根底から覆す空気感染のパンデミック、そして急激に進化した AI テクノロジーによって始まりを迎えました。2200年までに、人類はこれまでとはまったく異なる世界に住むこととなるでしょう。2023年の春、かつての NASA の職員が言っていた惑星ゾグからやってきたパープル・ピープルの話も、信憑性があるものではないかという証拠も出てきているのです。(定かではありませんが……)

冥王星の星座移動で起きた世界の変化

長い間、私は惑星の星座移動によりもたらされる集団的・個人的生活の両面においての変化に非常に興味を抱いてい来ました。

ここに1880年代からの冥王星の星座移動によって起こされた激動や変化の中でも、代表的なものをいくつか取り上げて簡潔に掲載しています。(記載の年は最初に移動があった年と最終的に次の星座に移動をした年):

1882年〜1913年:双子座の冥王星

(1891年〜1892年の双子座での海王星と冥王星のコンジャンクションを含む。このコンジャンクションは時代を変える象徴のようなものとしておよそ500年ごとに起きる)

電話の発明(1830年代〜40年代)により、長距離間での即時コミュニケーションが可能となり、人類の歴史を変えた。冥王星の双子座へのトランジットは、海王星とのコンジャンクション(1891年〜1892年)と相まって、変化の波をより加速させる。1856年に精神分析の祖であるジークムント・フロイトが誕生、人間の行動とメンタルヘルスについてのフロイトの理論は、後に続く著名な研究者たちに影響を与えるものとなった。1901年に発表された「夢分析」は、彼の画期的な研究の最高峰として知られる。

1912年〜1939年:蟹座の冥王星

1914年〜1918年に第一次世界大戦が起こる。1930年代にヒトラー主導の元でナチスドイツが台頭、その後1939年に第二次世界大戦が勃発する。何百万人の命が奪われ、住居を追われることとなり、長期間に及び家を失い、安全が保証されない生活を過ごすこととなる。

1937年〜1958年:獅子座の冥王星

ヒトラー、ムッソリーニ、スターリン、毛沢東といった男性独裁者の台頭と支配が始まる。1945年、第二次世界大戦では広島と長崎に世界で初めての原爆が落とされる。1950年〜1953年には朝鮮戦争、1956年にはソビエト連邦によりハンガリー侵攻とハンガリー動乱が起きる。第二次世界大戦後の1947年〜1948年に冷戦が始まる。

1956年〜1972年:乙女座の冥王星

microchip
マイクロチップ
出典:Dgarte, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, Wikimedia Commons より

1950年代から、「チップ」と呼ばれる極最小のミクロ電子工学部品から形成される半導体の構造の開発といったマイクロテクノロジー分野の研究が始まる。1960年代からコンピューターの普及が増え始め、世界中のビジネスシーンの在り方に変化をもたらした。ウーマンリブのような女性解放運動の気運の高まりと、体制や制度に対する若者の運動が広がる。ベトナム戦争の勃発。

1971年〜1984年:天秤座の冥王星

経済戦略:1971年〜1984年 新自由主義の台頭が起こる(主な経済の動きと冥王星の時代区分の対比については、上のリンクをクリック)。1973年、オイルショック。女性解放運動もピークを迎える。同時に、家庭崩壊や離婚率の増加、そのような社会の急速な変化の影響を受けた世代の成長が起こる。

1983年〜1995年:蠍座の冥王星

1980年代中盤になると、エイズや国際テロリズムの拡大、そして中東の政局不安によりさらなるオイルショックが拡大される。グラスノスチ、ペレストロイカ、ゴルバチョフのソビエト連邦の体制変革により、西側諸国との協力体制が築かれ始める。1987年には、アメリカとソビエト連邦の間で戦略核兵器削減条約が結ばれる。ヨーロッパで民主主義の台頭と冷戦の緩やかな終結があり、1989年にはベルリンの壁が崩壊。1991年12月、ソビエト連邦の崩壊。エリツィンとロシア国家主義(ナショナリズム)。文化大革命を経ての中国の出現。

1995年〜2007、2008年:射手座の冥王星

1991年〜2001年、バルカン半島での戦争。1993年〜2001年、アメリカでのクリントン政権の発足。冥王星が射手座に移動した1995年、阪神大震災、アメリカの100万人大行進、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世のマニラでの(500万人の観衆を前にした)説教があった。1997年〜2010年、イギリスでの新しい労働党政権の発足。2007年、電話の概念が変わることとなったスティーブ・ジョブズによるiPhoneの発売。経済拡大と経済楽観主義の時代。

2008年〜2024年:山羊座の冥王星

2008年に起きた世界金融危機、現金のみという概念が壊れる。また、序論も参考ください。(i)

冥王星の星座移動:個人的な生活への影響

一般的なエッセイでは、個人のホロスコープを見ない限り言及できることは限定されてしまいますが、一般原則として、惑星間のアスペクト、アングル、月のノードなどと外惑星が強く結びつくことにより、惑星の星座間移動が個人にパワフルな影響を与える可能性は高まる、と言っておきましょう。

私の人生が一つの例として挙げられます。私は往々にして、すべての外惑星と強く結びつきがあるためか、幸運または悲運(どちらを選ぶかはあなた次第です!)に恵まれてきました。中でも冥王星は特別で、私の太陽、月、水星、金星、土星(しかも0度で)と第12室でコンジャンクションをしており、すべて第三室で蠍座の木星とスクエアを組んでいるのです。これ以上に冥王星人らしいことはないと言えるのではないでしょうか!

いろいろと模索し深く掘り下げていく過程で、冥王星の星座移動は常に私の人生の新しい幕開けを象徴してきたのだとわかってきたのです。

それでは見ていきましょう。

私は獅子座の冥王星の元に生まれました。獅子座には他の惑星も位置しており、水星を除くそれらのすべてが第12室に入っています(水星はプラシーダスだと第11室)。クリエイティブな表現、そして人生の意味を追求するという名の冒険において、自分のアプローチで世界と結びついていくのだという決意は、小学生の時からいかなることにおいても根ざしていた思いでした。そして、天職という道を紡いでいく過程において、「書き物」「成人教育」「社会活動」「カウンセリング」という四つの重要な道が編み上がって行きました。そして、これらはアストロロジーの教育と実践において、ついに一つのものとなったのです。一般的に、獅子座に冥王星を持つ若い女性は、早く結婚をして子供を持つことを願う蟹座に冥王星を持つ両親を持ちます。しかし、私の歩む道はその理想とは程遠いものとなったのです……

1956年に冥王星が乙女座に入ると、学校で自分の道を探り始めました。そして大学へ逃げるように進むための資格を手に入れるため必死に働きます──私の家系でそんなことをした人は今までいなかったのです。1971年に冥王星が天秤座に移動すると、私の人生に大きな影響を与えることとなった九年間に渡る大嵐のような恋愛が始まります。1983年に冥王星が蠍座に移動すると、アストロロジャーとしての資格を取り、徐々にその仕事に携わるようになっていきました。1982年、冥王星が天秤座にいる本当の最後の時に結婚をしました。幸福と安定をもたらし、「死が二人を別つまで」という結婚生活の始まりです。1985年、冥王星が蠍座にすっかり移動しきってしまうと、私は個人事業主となります。これは今でも不平不満なく続いているスタイルです。

flying scot
フライングスコット
出典:Virgin Trains East Coast, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, Wikimedia Commons より (編集済み)

1990年代初頭、冥王星が私の第三室にいる蠍座の木星の上をトランジットしている時、毎月午前7時10分にこの赤い目をした電車に乗ってグラスゴーからロンドンに行きました。それは、センター・フォー・サイコロジカル・アストロロジー(CPA)でリズ・グリーン博士、後にはチャールズ・ハーヴェイからアストロロジーを学ぶためです。1995年、冥王星が射手座に移動をすると、私は CPA で心理占星学のディプロマを取得するために三年のコースに入学し、そこで「フライング・スコット」というニックネームで呼ばれることとなります。

2008年に冥王星が山羊座に移動すると、私はウェブの世界に進出し、ブログ「Writing from the Twelfth House」を始めます。その時は他にも「Astrology: Questions and Answers」、「Wisps from the Dazzling Darkness」(30年以上続く断続的な超常現象の報告と分析)、「Jupiter Meets Uranus」(1997年と2010年、2011年の木星と天王星のコンジャンクションについての独自の研究)という三つのブログも運営していましたが、今は「Writing from the Twelfth House」を除いてすべてアーカイブしてしまいました。

2008年の山羊座への移動で起こった大きな出来事として他に、体調の回復が挙げられます。海王星が私の第12室にいる惑星たちとオポジションとなった2001年から2008年にかけて、燃え尽き症候群のようになっていたのです。当時は人里離れたスコットランドの山頂で自然に囲まれ、素晴らしい海の風景を見ている、というのがよくある日常だったかと思います。

このエッセイをお読みで、外惑星と強い結びつきを持っている方、中でも特に冥王星との結び付きがある方は、自分の人生を振り返ってみて、移動とともに大きな出来事が起こっていないかどうかを振り返っていただけたらと思っています。その結果をぜひ教えてくださいね!!

2023年3月から2024年11月に起こる冥王星のゆっくりとした水瓶座への移動…あなたの世界に何が起こるのか?

このエッセイの冒頭で示したように、そして近年発表している他の文章でも書いているように、私たちは200年以上も続いた一つの時代との間での大きな変化の真っ只中にるというだけでなく(木星と土星の20年のサイクルの動きで見せたように)、1770年代以来の、深部の変化をじわじわと時間をかけてもたらす冥王星の山羊座から水瓶座への星座移動という、大変な時の中にいます。

French Revolutionフランス革命
出典:ウジェーヌ・ドラクロワ, Public domain, Wikimedia Commons より

前回には、北アメリカとヨーロッパでは大きな革命が起こっています。社会的、政治的、文化的に激震をもたらすこととなった 1776年のアメリカ独立宣言、1789年のフランス革命です。言うまでもありませんが、科学革命はその頃までにすでに起こっており、引き続いて啓蒙思想も台頭していました。それでは、これらを振り返って現在まで引き続いている世界への影響について考えてみましょう。

アストロロジャーとして他に大きな興味を抱いているものは、大きな世界的パターンという全体的に起こるもの(マクロコスモス)が、どのようにして私たち個々の生活パターンという小さなパターン(ミクロコスモス)に影響を及ぼしてくるのか、ということです。一般的に惑星と「結びついている」ものの数が強い人々に対し、強い影響が与えられます。

ネイタルチャートで冥王星が顕著な人や、牡羊座、蟹座、天秤座、(特に)山羊座の最後の度数、そして牡牛座、獅子座、蠍座、(特に)水瓶座の最初の度数でトランジットの冥王星と「結びつく」人は、現在地の星座である山羊座から風の星座である水瓶座へと冥王星がゆっくり移動を行なっているため、地の時代から風の時代への大きな時代の移り変わりという時にかかってくる圧力や緊張感、そしてそこで求められる挑戦というものを感じやすくなるでしょう。

冥王星の動きについて日付を記しました。 2023年3月23日:水瓶座入り、6月23日:山羊座戻り。 2024年1月24日:再び水瓶座入り、9月24日:再び山羊座戻り、11月24日:再び水瓶座入りし、以降は水瓶座を運行。この動きの最中、私たちもこの先に何があるのか見通しがつかず、方向を定めることができずにフラフラとしてしまうことでしょう。

だからこそ、私たちが住む地球にとって、嵐の日々のように難しく、確かでない時代になっているのというは特段驚くようなことでもないのです。私たちを含むすべての生き物は、何らかの確固たる拠り所、確実性を求めています──そして、現在かなりの多くの人にとって、それを見つけるのが困難となっているのです。

三人の例

それでは、冥王星の山羊座から水瓶座への移動が、それぞれの異なる三人へ与えた影響についてここで紹介いたします。三者から語られる話はその光景が目に見えるほど、まるで目撃をしたように表現されています。読み進めるごとに、その影響が驚くほどに関連していることがわかるでしょう。彼らの言葉から、文字通りのアストロロジー的象徴学が時にどう作用するかもお分かりになるはずです……

2023年9月1日、ヴィクター・オリヴァー:

……山羊座と水瓶座を行ったり来たりする冥王星は、私の早い度数にある双子座の太陽とトラインを作ったり作らなかったりを2025年の年末まで続ける──なので、私の人生への影響について結論を下すのはまだ時期尚早であろう。だが、すでにおもしろい進展を遂げたところも一つある。
イコールハウスシステムで、私の太陽は第四室にあり、トランジットの冥王星は第11室で漂っているのだが(実際、私の第12室のほとんどは水瓶座で占められ、ほんの最後の度数だけが第一室に入っている)、2023年5月に2-3度内でこのトラインが作られるようになり(2-3度はトラインとして許容している)、2024年の2月9日からはきちんとトライン(例えば度数1度以内)が作られるようになった。
2023年の5月(冥王星が水瓶座に最初に移動した直後)に、私が住んでいる家について新しい風が吹き込むこととなった。これは私のすでに亡くなった母から遺産として受け継いだ古い我が家であるが、過去への決別として、5月までに売却することを決意していた。その場所を好きになれたことは一度もなかったし、外観も好みではなく──さらには悲しい思い出がつきまとっていたからである。しかし5月になり冥王星が私の太陽とアスペクトを作り出すと、家を売却する代わりに、この家に対しての愛情を示そうと心変わりした。つまり、私の母への愛情と父への敬意──悲哀の元凶を生み出す元だった父ではあるが──を示す別の方法である。
私は今、大きな改築と改装を始めたところである。完了までに一年か二年はかかりそうだが、私の好みや嗜好を反映した家が出来上がるだろう。言うまでもなく、第四室は「家」「家族」そして感情の源となるゾーンである──そして冥王星のゆっくりとした水瓶座への移動は、地から風へのエレメントの移動を伴う。すでに、我が家は「開放的になった」とコメントしてくれる人もいるほどだ。なぜかと言うと、窓からはブラインドと重苦しいカーテンが取り払われ、新鮮な空気が流れ込むようになったのである。
冥王星の風の星座入りを文字通りに捉えすぎなのかもしれないが、覚えておいて損はないはずだ──占星術はバカ正直なくらいに文字通りが好きだから。別の意味としては、冥王星は私の中で休止状態にあったもの、または心の中で閉ざしていたもの──過去を許し受け入れ、所有しているものに対して極めて理性的ではなかった高飛車な態度を改めたいという気持ち──を掘り起こしているのかもしれない。冥王星は間違いや有害とされるものを引っ張り出す。大変化に準備できているものに対しては、解放者となるのかもしれない。このトラインが今度二年ほど、革新的な変化を引き起こしてくれるのだと私は確信している……

2023年9月8日、アン・ウィテーカー:

……2020年、冬至の日に起きた水瓶座0度での木星と土星のコンジャンクションは、これから200年以上に渡って私たちが風の時代に突入するのだという合図を送った。冥王星のゆっくりとした水瓶座への移動も、これを強調するものになっている。
極めて冥王星的な人間として言わせてもらえば、私のこれまでの人生が激変した年でもあった。その年の1月12日に新しい土星と冥王星のサイクルが山羊座23度で始まったのだが、その日に夫が突然この世を去ってしまったのだ。それからほどなくして、2020年3月、コロナウイルス感染症の大流行が世界規模で起こり、私たちの生活は急変することとなった。誰もが経験したように、私もロックダウン下での生活を始まり、Zoomのようなプラットホームを使うサイバー空間でのコミュニケーションを余儀なくされたのである。風の時代は間違いなく、一歩一歩近づいてきている……
私にとっては、それ以降がずっと風の時代として感じられている。私の著書である「Postcards to the Future: Mercurial Musings 1995-2021」には、60ものエッセイ、記事、コラムが納められているが、これらのすべてはロックダウン下での私の主なプロジェクトだった。そして、それはおおよそ40年に渡って私の最愛のパートナーでありソウルメイトであった夫イアンを失ったトラウマから私を救う役割も果たしてくれた。私は今、それまでとはまったく別の人生を歩んでいる。世界中から集まってきた占星術を学ぶ学生たちの指導を行い、このコースの評判も上々だ。それだけではない。ここグラスゴーでは占星術の新しい構想となっているものをサポートし、もちろん私の出発点でもある書き物についても携わり続けている。
私が現在取り組んでいるのは、月のノードについての私の研究やエッセイをまとめた本を出す準備である。ノードが集団的・個人的な人生において、どれほどの影響を与えてくるのかがありありとわかるようなものがそこには収められる予定だ。他、2024年の春に再び起こる木星と天王星のコンジャンクションについて、私の研究をまとめたものを再出版しようかと考えている。
この変化の時においての主な進歩は、私の住んでいるところから極めて近場にある協働スペースを見つけたことだ。ここで私は新しい刺激をくれるような若者たちが集う新しいコミュニティを見つけ(誰か水瓶座がいるのかしら?!)、ここの多くの人が占星術に対して固定概念を持たずに楽しんでくれている。幸せなことに、お役に立てるような先輩となるたくさんの機会が私に舞い込んできている……

2023年9月18日、アリソン・フィンレイ:

……2023年は今のところ、興味深い年になっている。長期間私のパートナーであった人が、冥王星が水瓶座に移動してすぐの4月にプロポーズしてくれたのだ。これは心臓がひっくり返るくらいの驚きと喜びをもたらした。山羊座の本当に終わりの度数に冥王星が位置していた時、彼が指輪を買ってくれていたなんて思いもよらなかったし、不意打ちでしかなかったのだ。私たちと同じような気持ちを家族や友人たちも抱いてくれている。プロポーズが予期せぬ出来事で、私たちの関係を変えたものであるのは言うまでもない。
タイミングがすべてと言えよう。私はそれから15年前に初めて出会った頃を思い返した。天体暦を確認してみると、その時は射手座の最後の度数から山羊座へと、冥王星が星座を移動した時だとわかった。私のネイタルの金星は、山羊座の最後の度数にある。2022年の早い時から、トランジットの冥王星はそこをウロウロとしていた。2023年の最後には5回目かつ最後のコンジャンクションが起こる。(プラシーダスではネイタルの金星は第4室に入るが、イコールとホールサインハウスでは第5室に入る。上記のいずれのハウスシステムにおいても、金星は第9室にある牡牛座のトゥルーノースノードを支配しており、そのノースノードは金星とトラインを作っている。)
冥王星の長期間に渡る第4室、つまり家庭と家族の部屋へのトランジットは、私に大きな変化をもたらした。そこには、パートナーのスコットランドへの転勤も含まれている。家族という形、そしてそこに包括される実務的なことにおいての変化を生じさせたのである。このトランジットの期間、私の家はかなりの変化を遂げた。特に、自分で建てたガーデンルーム。ここは私の隠れ家的仕事場へと生まれ変わった。私の夫となる人は、家の改築にはもってこいの素晴らしい才能に恵まれた人でもある。冥王星の山羊座での移動は15年前に始まり、今は私のネイタルの金星とアスペクトをとっている。そこから証明されるのは、この期間での私の献身性の重要さだ。
結婚式については今は計画を立てている最中だが、取り立てて急ぎもしていないし、日取りも決めていない(水瓶座の冥王星は2025年の2月まで私の第5室にはたどり着かない)。口にはしないが、私たちはこの結婚が更なる成長と変化への新しい出発点になるのだと確信している。そして、家族や友人たちは私たちの計画を聞くことを心待ちにしている。私のネイタルの金星は山羊座にあるけれども、2025年2月には冥王星が水瓶座へとすっかり移動しきってしまうため、式は伝統的だったり慣習的なものになることはないだろう!
また、私はファカルティ・オブ・アストロロジカル・スタディーズで学んだ8年間の集大成を形として受け取ることにも大変嬉しく思っている。2023年6月、ついにディプロマを取得し、2024年3月23日のファカルティディで授与されるのだ。2024年の最後には、冥王星がついに水瓶座へと完全に移行する。この新しい局面で、私には何がもたらされるのだろうか? そして、アストロロジャーとしてどんな役目が待っているのだろうか?

私たちはかつてもこの場所にいた……

W.B. Yeats
W.B. イェイツ
出典:Public domain, via Wikimedia Commons より

W. B. イェイツは、彼の有名な詩「再臨」(The Second Coming、1919年。書かれたのは第一次世界大戦の直後)で、まるですべてを予知しているかのようにこのように書いています。

物事が、砕け散り、中心は、保つことが出来ない。全くの無秩序が世界に解き放たれ……(ii)(尾澤愛子訳)

人類の文明の夜明けが始まって以来、世界は混沌が秩序を支配する時代を経験している、ということを今一度思い出すため、この詩をぜひ読んでいただければと思います。また、もう読んだことがあるという人にも、またぜひご一読ください。私たちは、それを再び体験するような時代に生きているのです。しかしながら、Inner Worlds Astrology の創設者でもあり主任アナリストでもあるエバン・ナサニエル・グリムによる、最近発表された水瓶座の冥王星リターンについてのインディペンデント掲載の記事も頭を駆け巡ります。

特にアメリカについてなのだが、冥王星は占星術では古い組織の破壊とそれに変わる新しいものを創始を象徴している、ということ……

グリムはここで「危機はまた機会をも生み出す」ということも指摘しています。中国語ではそれを「Wei Ji 危机」と言いますが、まさにこれに当たる、ということも漏れなく付け加えて。冥王星のトランジット、移り変わりでどれくらい私たち自身と社会に力を与え生まれ変わらせるのか、を聞くことはあまりありません。しかし、先ほど挙げた三つの例から、そんなことは言わなくてもわかってくるのではないでしょうか。

結論

しかし、世界中あちらこちらで不安な気持ちを抱えていたり、時には感情の激しい乱れのようなものを体験している人がいることも私は知っています。新しい風の時代が徐々に形作られていく今、私もまたクリエイティブな方法で人生が変化する可能性を感じているのです。今の時代は危険や困難につきまとわれる見えない恐怖に包まれています。そうではないというふりをし続けるのは、あまりに世間知らずで不誠実そのものだと思うのです。

けれども私は占星術に携わることで、全体像や長い歴史の姿を知ることができた、そしてそれを非常にありがたいとも思っています。一つの時代と新しく来る時代の狭間の混沌としたところに私たち誰しもが存在している、それを知ることができるのは私にとっての救いでもあるのです──これが占星術に携わっている誰しもにとってそうであることも願っています──知らない場合に比べて、しっかりとした足場や基盤を組めるからです。

今までも、これからも、荒波のような時間、そして辛い時にはこの大好きなマントラを唱えるのでしょう。

始まりは、まずはあなた自身であるというところから。そして使うのはあなたが持っているものだ。あなたができることをしよう。そして意志を持って動こう──さぁ、取り掛かるのだ。

皆さん、良い旅を!

文末脚注:
 (i) すべての時間と惑星のデータは、ニール・F・ミケルセンに作成、リケ・ポッテンジャーに修正された Tables of Planetary Phenomena, Second Edition, (ACS Publications 1990, 1993) を使用しています。
 (ii) アルフレッド・テニスン著「Morte d’Arthur(初版 1834年)」より

惑星の現在位置
2025年4月28日, 03:32 世界時
太陽86'22"14n13
1252'45"19n15
水星1146'45"2n02
金星2839' 3"0n55
火星417'52"21n11
木星2048' 9"22n53
土星2733'21"2s48
天王星269'24"19n05
海王星10'24"0s46
冥王星348'31"22s44
月の交点2646'26"r1s17
カイロン2354'23"9n58
記号の説明
現在のチャート